”売れない”要因解明の第一歩は「需要予測」から

企業活動にとって最も大事なものは、「適正な目標数値の設定」です。
”売れている”、”売れていない”の判別はこの「目標」に対してなされるべきです。

「目標設定」を可能にするものが「需要予測」です。
需要予測には、大きく分けて2つのアプローチがあります。

1.需要を規定する社内外の要因から予測する方法
2.過去のトレンドから見て、その延長傾向を予測する方法

2の「トレンド延長」は、どの企業でもよく使われる方法で、 例えば『前年比○%アップ必達!』などもこれに含まれると言ってよいでしょう。 (データ的な裏付けがあるかどうかは別にして)

それに対し、1の「要因からの予測」は特殊なデータ分析アプローチが必須で、 主に技術的な原因から導入企業数としては多くない、というのが実情です。
ところがこの方法を使う利点には大きなものがあり、第一の利点は、
”売れるために行うべきマーケティング活動をダイレクトに知ることができる”というものです。

要因からの予測=「重回帰分析」

需要を決定する社内外の要因として、どんなものが考えられるでしょう?

外的要因としては、「景気動向の変化」「人口や世帯数、所得水準の変化」などはすぐに思い浮かびます。
内的要因としてはどうでしょうか? 例えば、「営業マン数」「拠点の大きさ(小売業なら売り場面積、病院なら病床数、等)」 「広告投下量」「販促費投下量」などがこれにあたります。

これらの要因と販売額なり顧客数との関連がわかれば、これらの要因が変化した時の予測値を求めることが 可能になります。この関連性を求める代表的な手法が「重回帰分析」です。

人口や世帯数といった社外要因と、営業マン数や店舗規模といった社内要因を分けて分析することにはメリット があります。

社外要因から規定される需要=「潜在的な需要」
社内要因から規定される需要=「顕在的な需要」
このように定義付けることが可能だからです。

例えば人口が少ないエリアに大量の営業マンを投入したとしても、人口以上の販売量が見込めないケースでは、 これらを一緒に分析すること自体に無理があるのは容易に想像できます。

一方で、このように分けて分析することで、潜在的な需要を刈り取るための社内要因のシミュレーション、 言い換えれば「マーケティング資源の最適配分」が可能になるメリットも併せ持ちます。
人口や世帯数といった企業側からコントロール不能な要因による潜在需要に対し、営業マン数や広告費といった 企業がコントロールできる要因で達成できる顕在需要をいかに近付けていくか。

これこそが、マーケティング計画そのものと言っても過言でないでしょう。

外的要因による売上予測の方法

ある企業の「A」という商品の拠点別の販売額を、重回帰分析によって分析したものです。
下の表から読み取れるのはが、商品「A」は次のようなエリアで良く売れることを示しています。
●公営借家世帯数が多いところ
●転入人口が多いところ(新興住宅街といった意味でしょうか)
●所得格差の高いところ(高所得エリア)
●サービス業や運輸・通信事業所の多いところ
●30-39歳男性の多いところ
●15-19歳女性の多いところ など(マイナスの付いていない項目)

逆に次のようなエリアではあまり売れません。
●婚姻件数が多いところ
●不動産業や建設業に勤務する人が多いところ
(マイナスのついた項目を見ます)

重回帰式 目的変数 商品A販売額
説明変数名 偏回帰係数 標準偏回帰係数
公営借家世帯数(世帯) 0.001311051 0.122189293
転入人口(住民基本台帳:人) 0.001432874 0.211815611
所得格差(全国=100) 0.111468154 0.058492103
30-39歳男(住民基本台帳:人) 0.006013948 1.093311934
婚姻件数(件) -0.017112758 -0.29895174
運輸・通信業(事業所) 0.020509297 0.106780747
サービス業(事業所) 0.010768109 0.403506313
不動産業(人) -0.002693221 -0.116770229
建設業(人) -0.00130212 -0.163619864
2010年推計人口(人) 4.75647E-05 0.116076096
15-19歳女(住民基本台帳:人) 0.005910494 0.401246736
管理的職業(人) 0.002668913 0.164929174
定数項 -8.111383765  
[精度]
決定係数 R2 = 0.857184947
重相関係数 R  = 0.925842831


ここまで分析できると、需要予測は完成したことになります。
つまり、将来公営借家が増えたり、転入人口が増えたりすれば売上は伸びますし、
不動産や建設業に従事する人が増えると売上は落ちると予想できます。

社内の要因による売上予測の方法=”売れない原因はこれだ”

次に社内要因から分析する際の実際を紹介します。
社内要因としては、営業マンの数や資質に関するデータ、
拠点や店舗などに関するデータ、取引先のデータなどが対象です。

同じく商品「A」を販売する営業マン、拠点データなどから分析したものです。
ここでは、マイナス要因(販売額を減少させる要因)は出てきません。
50項目以上のデータを使用していますが、関係のあるのは次の項目です。

重回帰式 目的変数 商品A販売額
説明変数名 偏回帰係数 標準偏回帰係数
拠点社員数 1.984247361 0.41929405
販売代理店数 1.514612548 0.420379454
拠点管理システム導入有無 0.209837298 0.094048541
アフターフォローコール数 0.185359587 0.923970116
管理職経験年数 19.99192951 0.170684718
顧客満足度数 9.332463425 0.069974042
定数項 -513.0561007  
[精度]
決定係数 R2 = 0.992184647
重相関係数 R  = 0.996084658

ここから読み取れるのは、”売れない!””売上を上げたい!”場合には
●拠点社員数を増やす(一人増やせば約2単位販売額がアップ)
●販売代理店数を増やす
●拠点管理システムを導入する
●アフターフォローコールを徹底して行う
●顧客満足度を上げる

といったプログラムが必要ですが、最も効果のある施策は、
●管理職経験年数のアップということになります。

つまりこの企業では、売上向上のためのマーケティング・プログラムの中で、
特に管理職の量・質の向上が最も重要であることがわかるのです。


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